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You are perfect

Breath

恋愛ドラマ「Love by chance」の原作には関連本がいっぱいあります。このドラマに登場する一組のカップル【Tin&Can】のTinの異母お兄ちゃん<Tul>と幼馴染の<Hin>の物語の話が題名にある通り「Breath」という本です。ドラマの予告編を観たときからTulTin兄弟が気になっていたので思わす英訳に手を出してしまいました。

ここでは要約・考察・訳文・補足を載せてますがめちゃくちゃ適当です。とにかく【意訳・誤訳・雑文のトロピカルオンパレード】爆発してます。ちなみに性的かつ暴力的な内容にも軽く触れているので苦手な方は要注意です。

英訳リンク
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www.wattpad.com/amp/665906304%3Fusqp%3Dmq331AQQCAEoAZgBnJrXtf2Q8cnvAQ%253D%253D

家系図もどき>✨
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追記で訂正箇所あり。父親の名前はTraiでTanは祖母の名前、Hinのお父さんもMesanat家の労働者。Tul家の苗字はMedthananらしいです。初っぱなから間違えまくってます💦

<Tulくん情報>
タイとイギリスのダブルで、背が高く色白で端正な顔立ちをしている。大学では常に女子の注目の的で、家は不動産会社を経営するお金持ち。異母弟のTinは留学中で、父と継母(Tinの母親)たちと生活を共にしている。厄介な家庭環境と誘拐事件に苦しめられ、心の闇と暴力的な一面をもつ。

<Hinくん情報>
Tulの華やかさには欠けるもいい感じのルックス。両親とともにMedthanan家の邸宅に住み込みで働きながら、Tulと同じ大学に通っている。幼少期の頃から彼に反抗したことがないほど心優しい従順な下僕....ではなく、Tulを支える良き理解者である。また、彼の性的な相手もつとめている。

それではスタート

1.誰もが目にする日常
主人公<Tul>の人物像(美しい容姿と複雑な性格)、裕福な暮らしぶり、学校や職場での日常、家族や<Hin>との関係性が描写されている。

▽7歳のときの誘拐事件が原因で心の底から笑顔になることを忘れてしまった。周囲の人間に対しては表面上取り繕い、幼い頃から共に過ごしてきたHinにのみ心を開いている。そんな孤独に優しく寄り添い支えるHinの健気な姿が垣間見える

▽学校生活と同時に実家の不動産業務を手伝う立派なサラリーマンとしての顔も併せ持つ。

▽父親と継母との関係は当たり障りのないようでいて距離感のある関係を維持している。


2.邪悪な原因
①幼少期
Tulの心の闇は祖母の存在が大きな原因となっている。嫁姑の確執が原因でTulが4歳のときに実母は男を連れて家を出て行っている。祖母は孫の存在を受け入れられず彼を虐待した。Tulはメイドの子どもであるHinをそばにおき祖母を困らせようとした。社会的な地位が低いHinといることを嫌がったからである。同時に心の平安を手に入れる事もできた。

その後も虐待は続いたが、メイドたちは解雇される恐怖で見て見ぬふりをしてきた。父親すらも彼を守ろうとはせず、HinとHinの母親だけが助けてくれた。特に貯蔵室に閉じ込められたトラウマは成人してもなお彼を苦しませている。

②21歳(現在)
二人は学生委員会に所属し、Tulは会長、Hinは会計係を務めている。Tulが学業と仕事を両立できるように、Hinは委員会での役割を精一杯こなし、彼を支えている。

Tulは自力で会社の成果をあげてきた労働者としての一面もある。そうしなければ彼の居場所が失われてしまうからだ。周囲は弟のTinを後継者として認めていた。Tulは自分の居場所を守るため、一人で努力し続けている。その姿を知り、理解できる人はHinだけ。

③Tulの心の闇エピ
Tulは自室での仕事を中断し仮眠をとっていた。トラウマの夢を見ていた彼は、部屋に入ってきたHinに声をかけられ目を覚ます。Tulは彼の手首を圧迫するまで強く掴み、彼を見上げた。夢との境目が曖昧で、Hinであることを確認できるまでTulは恐怖にかられていた。

Tulはガラスのコップを割って突然その破片を足で踏みつけた。Tulは叫ぶことしかできないHinに向かって「片付けてから寝ろよ」と言い放った。

入院中の祖母を久しぶりに訪ねた二人。体は不自由で会話もままならないが、それでも祖母は孫を受け入れようとしない。二人きりになり、Tulは祖母に「死に近い人に何百万もの金を無駄にしたくはない」とささやいた。これはTulが誘拐事件のときに祖母に「誰にも望まれずに生まれた子どものために何百万もの金を無駄にするな」と言われたことの仕返しであった。

3.無の感情
継母との関係性は相変わらずで、父親と継母も夫婦関係は冷めている。

HinはTulの幸せで頭がいっぱいだ。Tulに対して尊敬、称賛、信頼、愛を捧げ、自分以上に大切に思っている。が、しかしTulはHinからの愛に気づくことはないだろう。なぜならば、Tulは愛を決して信じないからだ。

入院していた祖母が退院しついに仕返しのときがやってくる!Tulは「会社に関わって欲しくなかった俺が今や重要なプロジェクトを任されているけど、そうじゃないふりをした方がいい?」ときつく言い放つ。それからTulは彼女の最愛の孫Tinの写真と動画を見せた。それは彼女にとって身が引き裂かれるようなものだった。Tulは叫ぶ彼女を何の感情もなく、ただ見ているだけだった。

4.曖昧な2つの警告
Tulは祖母を傷つけたことが引き金となって、シャワー室で自分を傷つけてしまう。心配になったHinが全力で止めようとするも暴力の衝動を抑えることができない。「僕がいる(中略)自分で自分を傷つけるくらいなら、その痛みを僕に分かちあわせて。何でもするから。」と申し出る。

暴力を振るわれてもHinはTulのために彼の全てを受け入れてきた。Hinは激しい痛みのなか、Tulの心が今まで以上に深刻な状態であることに気づいた。それでもなおHinの思いは断固として変わらずにいる。

▽題名の"警告"はTulがHinに向けたもの

▽祖母を傷つけたTulに対するHinの言葉が印象的。「周りの人を傷つけるのは良くない。それが一番きみを傷つけるからだよ。」

▽性的なシーンはバイオレンスな描写があるので軽く触れる程度で良いかなと思って詳しくは書いてません。ただ気になる人もいると思うから端的に情報おいときます。

・7年前から関係がある
・Tulの苦しみを和らげることが目的のひとつ
・Tulは乱暴で身勝手なときがある
・HinはTulが幸せな家庭を築くことを願ってる

▽彼らはキスもセもするけどお互いを恋人だと認識してはいない。友達以上恋人未満では浅はか過ぎる。親友、恋人、家族というものを超越した特別な存在なのかな…唯一の片割れ的な。

5.それは利益なのか?
TulはHinが見返りを求めずに自分のそばにいてくれることに疑問を抱いていた。Hinはどこに行くのも何をするにもTulと一緒でなければならなかった。しかし、Tulはそれを利益としか捉えていない。なぜなら彼の願いが叶ったことはないからだ。

得るものがあれば同時に失うものがある、ギブアンドテイクの関係でなければ自分の価値を見いだせない人間になってしまった。彼は深く考えることを避け「貴重だから価値がある」と結論づけた。

その後あるきっかけでTulは、Hinは報いを受けるために耐え続けているのだという思いに至る。しかし、Hinは彼の利益になる存在になりたかっただけだった。ただそばにいることができれば、それ以上に望むものはない。性的な関係が終了しても、他の方法で彼を支えることができると思っていた。

6.いじわるな人
二人は大学にNarkopという友達がいる。彼はTulにひけをとらない優秀な学生でTulをからかえる唯一の存在。そしてHinのTulから受けた暴力のあざに一番最初に気づいた人でもある。

ふとしたきっかけでNarkopに二人の関係を怪しまれ、変に隠そうとすることで事態は悪化する。賢く鋭い彼に問い詰められた結果「一線は越えるなよ」と言われる始末。険悪なムードから解放され、ようやく二人きりに。HinはTulが望むならNarkopとの関係を切ると提案する。しかし、Tulは今後も"利益"になると考えたため、友人関係を続けることにした。

▽Narcopに関係を疑われた原因
NarcopがHinの首もとにある、あざに気づいたことがきっかけ。そのあざは二人がセをしたときにTulがHinの首を締めた跡。1章のときにもHinの腕にあるあざに気づき指摘している。

▽この章の題名は"Dog in the manger"
ひねくれ者、邪魔者という意味の口語で、ここではNarcopのこと指す。話の中でもNarcopが飼っている犬が登場していてそれでこの題名をつけたのかな..英訳に感謝。

▽一部のセリフがあまあま
Hin:僕はTulを傷つけたりしないから
Tul:なんで
Hin:Tulのものだから
Tul:Narcopにも言っとけよ 一線は越えないってこともな

▽細かく読んだらわかると思うけどセリフがすごい、主従・依存関係半端ない

7.報酬か罰か
息子を捨てた母親、死に追いやろうとした祖母、自分勝手な継母、女性という性別がTulを深く苦しめている。しかし、全ての女性を示すわけではない。彼はこれから良き相手と出会うことになる。仕事帰りに父親から会食を誘われ、そこで美しい女の子Nong Wadeeと出会う。

▽この章のセ後のシャワー中の会話がすごい。T「お前が妊娠できたら、俺たち何人の子持ちなんだろうな…男で良かったよ。でなきゃこんな風に触れない。」T「俺にはお前がいる。それで十分だ。お前は俺のものだから。」この言葉はHinにとって、かけがえのない報酬だった...

8.全てのものが手の中に
Tulが会社に行っている間(会食と同日)、学校で一人食事をとっていたHinに、Narcopが声をかけてきた。Narcopは二人の間に何があるのか知りたかったが、Hinがあからさまに自分を避けるため、これ以上の詮索を止めて今後は一切追及しないと約束する。

Narcopが少し席をはずしている間、"Narcopに用がある"と可愛らしい女の子が声をかけてきた。話をすると、彼女はNong Roseと仲が良いことが判明する。Roseとは以前Narcopから聞かされていた、Hinに好意を抱いている女の子だ。

一方、そのときTulは会食で出会った人と交流を深めていた。彼は自ら自分のことを語ろうとはせず聞き役にまわったいた。そしてそこで同席したWadeeに対し好印象を抱く。

会食後、学校に向かったTulはHinからNarcopと和解したことを知る。それからHinが十分な昼食をとっていなかったため、二人はレストランに出向いた。しかし、そこで継母から祖母の様態が悪化し病院に運ばれたという連絡がくる。それはTulが待ち望んでいた吉報だった。

▽切なくて良いなと思ったので丸々訳した
自分はTulにふさわしい相手が現れまで、彼のそばで働くことができる。彼から受け取った言葉に夢中になってはいけない。(「俺にはお前がいる。それで十分だ。お前は俺のものだから。」)どれだけ抱き締められ求められたとしても、常に自分の立場をわきまえなければならない。自分は男性であり、使用人であり、ふさわしい相手ではないのだ。彼はまだ見ぬ立派な相手を見つけなければならない。いつかそのときがくるまで、未来に向けて思い出を刻み、小さな幸せを積み重ねていくのだ。

▽Narcopの優しさ
仲直りしたときの「詮索はしないけどつらいことがあれば話は聞くし力になるよ。Tulがそれを嫌がったとしてもね。」の言葉が優しい。Narcopは気遣いができて「Tulとは友達を止めてもHinとは仲良くしていたい~」とか言っちゃう感じだから、今後もいろいろ助けてくれそう。

▼ここまでの二人の関係について
▽要約だから伝わりづらいと思うけど二人には明確な主従関係、暴力関係が存在してるから恋愛できて嬉しいキャッキャッみたいな空気感はほとんどないね…プロローグの冒頭から思いやりのない性的な場面があってびっくりした。でもTulは暴力的な一面はあるけど、優しいところもある。体のことを気遣って薬をもってきたり、休息を勧めたりしてくれるんだよ。とか思ったけど、これこそDVの典型か…笑

▽二人はHinの両親がTulの家に雇われたことがきっかけで出会ってる。小さい頃に知り合っているから友達ではあるけど、【坊ちゃんと使用人の子】みたいなテンションが二人の間には流れている。それと、家族を雇ってもらっていることと学費を払ってもらっていることに【恩義】を感じていること、【Hin自身も労働者】として働いていることなどの理由から指示する従う関係性が築かれたのかなと思う。

▽祖母からの虐待や両親を含む周囲からの無関心、そして誘拐事件の傷跡がTulに心の闇をもたらしたのだけど…幼少期の頃から続く過度のストレスを解消する術が見つからず、家庭の状況に変化の兆しもなく、そのためひどく傷ついた抑圧された感情のはけ口をHinに求め苦しいときを一分一秒乗り越えてきた...Tulは本当に孤独な人。


▽HinはTulの喪失と孤独をそばで見守ってきたことが大きいと思う。もともとの純粋で【優しい性格】も相まって支えてあげたい、守らなちゃいけないと言った【母性的な感情】や【使命感・義務感】が自然に芽生えた。拒否しないことが愛と優しさだと履き違え、彼に無償の愛を捧げることが自分の幸せだと信じている。だから多少の暴力にも目をつむり、じっと耐える。端から見たら健全な関係には見えないけど二人はこの方法でバランスを保ってきた。でも無償の愛ってすべてを許すことではないと思う。二人は解決する方法を完全に間違えている。

▽Hinは一見【愛と献身の女神】のように見えるけど、Tulを支えることに自分の存在意義を見出し、Tulはそこに甘えて暴力をふるい自分を保とうとする。そういう構図が出来上っているから依存的な感情や関係が生まれた。

9.レストランに心が満ちる
待合室で治療を待っているとき、継母は弁護士と電話をしていた。彼女は義母の様態に興味はなかった。終いにはその姿に怒った父親とけんかをする始末。Tulは間に入って二人を諌め、Tinの帰国の手はずを整える。そして、落胆する父親を励ました。ここでようやく父親は祖母がTulを苦しめてきたこと(虐待・誘拐事件)に言及し、許しを求めた。Tulはすでに過去のことだと返答する。

それから、駐車場で待機していたHinを迎えに待合室を出た彼は誘拐事件のことを思い出す。孫の死を望んだ祖母は身代金の請求を拒否したため、Tulは3日間拘束され殴られ、死の恐怖を味わった。祖母は孫に与えた全ての暴力に苦しむべきなのだ。そう考え立ち尽くしていたところ、待合室まで来ていたHinが現れる。TulはHinを抱きしめながら「あの女を許せない…でも父さんはそれを望んでる」と小さく嘆く。

▽抱きしめるに至るまでの場面がめちゃドラマチックだし切ない。厳密に言うと待合室を出るとき、父親に「自分のせいだ。俺が臆病でなければ、お前は苦しむ必要はなかった!」とか今さら感満載に言われるわけですよ。ドアを閉じて許しを請われることに葛藤し、誘拐事件の悪夢を思い出しているとき、そこにHinが登場!Tulは即座にHinを抱きしめる。情景が目に浮かぶ!

▽緊急手術は終了したが峠を越えるかどうかというところで、Tulは祖母に話しかけ憎しみの言葉を並べた。彼が人生の中で幸せを感じられた2度目の瞬間だった。しかし、彼女への復讐は彼自身を決して救うことはなかった。

10.捨てられ続ける子ども
祖母から虐待されたてきたTulは彼女に従順になることで、いつか優しくされることを期待していた。しかし、誘拐事件によってその思いは崩れ去る。祖母は誘拐犯の身代金要求を拒否し、自分の孫をあやめるようにとまで言ったのだ。最終的には助け出されたがこの事件によって、Tulに深い悲しみをもたらすことになった。

▽誘拐事件の詳細が書かれた章

11.答えのない感情
葬儀が無事に終わり、Tulは複雑な感情を抱く。自分の人生を破壊させた祖母に憎しみを抱いているにも関わらず、なぜ彼女の死に苦痛を感じ涙するのか。Tulは自問自答するも答えを出すことができない。Hinは震えながら泣いているTulを抱きしめ僕がいるからと慰めた。Hinは自分が価値ある存在だとは思っていなかった。しかし、世界を敵に回しても自分がそばにいることを知ってほしかった。

複雑な感情が渦巻くなか、ようやくTinが帰国する。Tinは久しぶりの再会に緊張(恐怖)したが、自分の知る兄を感じ心が解れた。しかし、Tulは弟と祖母を重ねてしまうため、きつくあしらい、険悪なムードが流れる。Tinは久しぶりの帰国を喜ばない家族の冷めた迎え入れに不貞腐れた。彼らの母親は息子の帰国を尻目に、遺産のことで頭がいっぱいだったのだ。

▽兄弟の場面
ドラマでも兄弟の不仲さが垣間見えたと思いますが、二人の関係がみえる大事な章なのでもう少し細かい訳を載せます。「Breath」はドラマの6年前の物語なのでこのときTinはまだ13歳。

Tinは空港で「俺はもうガキじゃないんだ。兄貴に会いたいわけじゃない。早く家に帰って寝たい。」と言いつつも、到着するとTulの居場所を知るや急いでリビングルームへ。ソファーに座るTulの背中を見つけ喜ぶTinは、後姿の彼に向かって話しかけるが返事はない。TulはTinの首の後ろを掴み、彼の顔がソファの背もたれに沈み込むまで押しつけ、頭を強くなでた。

Tin:痛い!
Tul:痛いか?どこに行ってた?なぜこんなに遅くなった?
Tin:迎えに来なかったじゃん
Tul:おお!それでお前は拗ねてるか
Tin:違う!俺はもう子どもじゃない!

しかし、兄の目に最初に映ったのは、13歳の男の子の目ではない。それは亡くなったばかりの人の傲慢な目だった。ふたりの会話は普通の兄弟のやり取りのようにみえる。しかし実際は、Tulは祖母の首を絞めるような感覚でTinの首に触れていた。

Tul:おばあちゃんの葬儀があったから父さんと母さんは忙しいんだ。
Tin:俺が帰って来たのにお母さんは弁護士と話があるからって一目しか見てないし、それにお父さんにも会えてない。俺の帰国をどうして誰も喜んでくれないの?兄貴はどうなんだよ?
Tul:お前と一緒に怒ったら満足なのか?
Tin:失せろよ!兄貴だけで十分だ。バカな親なんていらない!

Tulは弟の体に触れると冷たい心が温かくなる。この家でTulを人と見なしてくれる家族は弟だけだからだ。しかし、同時に自分の居場所を奪った人でもある。弟が産まれた日は踏まれた影のようだった。誰もが弟の誕生を望み、喜んだ。

Tul:俺には兄ちゃんしかいない
Tin:お前には父さんと母さん、大切にしてくれたおばあちゃんがいるだろ
Tin:みんな遠くに感じるんだ。俺に興味をもってくれるのは兄ちゃんだけ。

▽帰国したときTulがいないことにちょっと不満気味なTinがかわいい。ドラマの姿にはない子どもらしい一面が見える一幕。でも久しぶりの帰国がいたたまれない。家族からの「会えて嬉しい」の一言が欲しいだけなのにね。

▽Tulは弟のことを大切に思っていないわけじゃないけど、ただTinは祖母に最愛の孫として見てもらえたから。自分の欲しかったものを無条件に手に入れた弟に複雑な感情を抱き、それゆえにどうしても弟を歪んだ目で見てしまう。Tinと祖母を切り離してみることができず重ねてしまうため、復讐心からいじわるになる…と言った感じかな。

▽このときTinはまだ13歳。兄弟関係はわりと良好なとき。Tinが16歳くらいのときに亀裂が入り、長い確執がとけるまで時間がかかるんだけど、もっと早くお互いの人生を共有できていたら長期戦にならずに済んだかもしれない。

12.残されているもの
兄弟が久々の再会に楽しいひとときを過ごしたその翌朝、Mesanat家の親戚が一堂に会した。祖母はTulに財産を奪われることを恐れたため、数年前に遺書を弁護士に託していた。案の定、遺書にはTulの名前は見当たらず。それに怒ったTinは、Tulも彼女の孫であり財産を相続すべきだと主張する。しかし、Tulと父親がTinを諫めその場は解散された。

その後、Tulは弁護士からこっそりと祖母から自分宛の手紙を渡される。読むべきか悩み情緒不安定になっているところにHinが心配し部屋に入ってくる。意を決して手紙を読んだが、彼に対する憎しみを込めた言葉だけが並んでいた。これは祖母に対してより一層、恨みを深める機会となる。HinはTulの祖母への疑念で心がいっぱいになった。

▽遺書の箇所
『(親族の相続分を除く)残りの全ての財産は私の唯一の孫、本家の真の相続人であるTinに与えるものとする』と書かれていた。

▽Tinの怒りの場面
「兄貴も正真正銘の孫だ!ばあちゃんが病気になって死にそうになったとき、会いに行ったのはTulだけだった。なのにみんな金ばかり求めてる。Tulこそ相続すべき人なのに!」

13.痛みの代用品
Hinの一番の気がかりは、Tulが彼自身を傷つけること。そして、ときに人生さえも終わらせてしまうのではないかと危惧していた。Hinは手紙の内容にひどく傷つきふさぎこむTulに登校を促す。がしかし、TulがHinをホテルに連れ込み乱暴に犯してしまう。

▽シャツは足元の地面に投げつけられ「すべてを俺にくれ」と………

▽ひたすらTulがHinを傷つけるシーンが細かに描写されています。ものすごくひどい内容なので文字お越しは断念しました。

⒕唯一の避難先
Hinはボロボロになった体でNarcopの家を訪れ助けを求めた。けがの原因を問われ交通事故にあったと答えるもNarcopには通用しない。察しの良い彼は傷の手当をしながらTulとの関係を言及した。答えないHinに「あいつとやっているんだろ」「いつからだ?」と畳みかける。それでも答えない様子に痺れをきらし、半ば脅しをかけ強引に聞き出した。Narcopの優しい言葉に涙するHin。誰かに話せた安堵感から、これまで多くの感情を抑圧していたことに気づく。

Narcopは涙を流すHinを慰めた。そしてHinからTulとは恋人関係ではないことを聞かされ衝撃を受ける。HinはNarcopにこのことは明日話すことを望み、風呂場に行こうとしたときTulから電話がかかってきた。彼と話しをさせろとNaは要求するもHinに拒否された。何事もなかったように話すHinは顔の傷が治るまでNarcopの家に泊まることを伝える。

すると電話越しから見知らぬ女の子の名前が聞こえた。その名はWadee。NarcopはTulと話そうとしたが、電話は切れてしまう。誰と一緒にいるんだろう。この思いは、何日も続いて刺激されるセックスよりも彼の体を苦しめた。Hinはそのことを考える度にイライラとした。

15.お似合いの人
HinはMed家に帰宅すると警備員からTulに恋人ができたかもれしないことを聞かされ驚きを隠せない。話によると奥さんの友達の娘さんでとても素敵な子だということがわかった。

Hinが帰ってきたことを知ったTulはHinの部屋へと向かった。しかし、鍵がかかっていたため、何度かドアを叩くとHinは目を覚ましドアを開けた。Tulの機嫌は良さそうだがNarcopの家に泊まっていたことが気に食わない。TulはHinのTシャツを持ち上げて腹部にうっすらあざができているのを見た。Tulが薬を塗ろうと提案した。遠慮するが語気を強めて薬を出すことを求めた。指先で薬を腹部に沿ってゆっくり塗りながら鋭利な目で傷を見ていた。この傷は彼の拳ではなく、挿入時に強くHinを圧迫したためにできたものだった。

学校に行くとNarcopとTulたちが教室で再会した。Narcopは眉をひねりながら「お前はHinの友達なのに、使用人として過度に強制していると思わないか?」とけん制する。その場をなんとか対処しようとするHinは場を納める。

その後、Wadeeから車の故障について助けを求める電話がきた。TulとHinは彼女のもとに向かい問題に対処した。そこでHinは彼女の育ちの良さや教養の広さ、優しさに触れ、Tulにお似合いな女性であることに気づく。

▽セリフPart1
“どうしてドアをロックした?“着替えていたんです。“へえ、俺の前で足を何度も広げているのに、着替えごときで恥ずがるのか?"

▽セリフPart2
"もしお前がHinに手を出したら、俺がひとこと命令すれば、Hinはお前との関係を絶つのに躊躇しないだろう"

▼以上、英訳されているところまで和訳してみました。

シリーズの海外ファンの中には「二人の関係は共依存で愛とは呼べない」「Tulの境遇は同情するがいかなる愛や思いやりの名においても暴力を正当化・美化することはできない」「Tulは専門的な治療を受けるべき」という意見があります。私も同意見です。物語の文脈として内容は受け入れるけど、それはTulが行使する権力や暴力を肯定するという意味にはなりません。どのような背景をもっているとしても、Tulをとうてい庇うことはできないです。

ただ、冷酷な家庭環境と誘拐事件が健やかな成長を著しく妨げてきたという点において、Tulは正しいケアと愛情をたくさん受けるべきだと思います。家族との関係も調整してほしい。二人で健全な恋愛関係を学ぶことも必要だね。TulとHinには幸せになってほしいよ!

LBCシリーズは全体的にどうしてもそこがひっかかってしまうところがあって…KlaがNoに同意をとらなかったのはありえない犯罪でしょ...と思う。Klanoカップルが一番好きだけどここの場面は支持してない。

でも作品の多様性を否定したいわけではない。理想的な正しい恋愛関係だけを過剰に求めているわけでもない。素敵な作品たちだと思う。あえて描くことで問題提起するという見せ方もある。ただ倫理に反する行為そのものに肯定をすることはできない。だけど、一つのエンタメ作品としては楽しむよって感じかな。

Typeの過去に胸が痛むし、Pondが日本のセクシー女優を好む場面はウッてなるけど。

それとやっぱり全文読んだ方が良いと思う。クソ要約だと物語の情景を浮かべるのが難しいから魅力が伝わりきれない。時間と余裕がある方はぜひ英訳があるのでチャレンジしてみるといいかも。続編はとりあえず英訳を待とう!